TOP INTERVIEW 2022
『釣具新聞2022新年号』より ※記事のご提供:名光通信社様
【昨年の変化について】
昨年は、「機」の一文字を掲げて臨んだ一年でした。振り返ってみると、ゴールデンウイークまでは2020年を大幅に超える水準で好調に推移していました。しかし、6月は天候不順等により低迷、7月はV字回復となったものの、8月には災害級の豪雨や長雨に見舞われ再度低迷。9月は天候の回復やシルバーウイークの影響により2ケタの伸びとなり堅調に回復していきましたが、10月以降は緊急事態宣言も終了し、学校行事の再開や近場だけでなく、県をまたいでの行楽やレジャー・観光など、人々の生活がコロナ禍以前に戻る傾向が見られ、お客様が他のレジャー等に離れていった印象を受けました。年初に掲げた「機」の意味通り、この一年それぞれの機会やタイミングによって、短期的、中長期的な対応を適切に取っていく事が特に重要な年だったと感じています。
一昨年は、ご承知の通り、コロナ禍の影響で新規の釣り人が大幅に増えた為、「初心者、ファミリー、セルフ」の3つをキーワードに、お店作りの強化を図りました。しかし、昨年は既に釣りの楽しさを知っている方々が、「もっと違う魚を釣ってみたい」、「より大きな魚を釣ってみたい」、「更に価値のある1尾を釣ってみたい」など、釣りに更なる楽しさを求められた年だったと思います。つまり、釣りの楽しさをより追及されるお客様が急増し、バスからエギング、ショアジグからオフショアなど、釣りのジャンルの垣根を越えて水平展開が起こりました。バス釣りのエキスパートの方でも、エギングをした事が無ければ初心者です。特にルアーフィッシングは、ジャンルをまたいで釣りを楽しむ水平展開が比較的容易にできます。そういった「ジャンル初心者」の方、すなわち、すでに釣りの楽しさを知っておられ、価値ある1尾を釣りたいと思われている方々へ、少し高度な知識や情報の提供などへの対応力が求められた年でした。
今年は、ウィズコロナとなり、3密を避けて釣りやアウトドアを楽しまれていた方が、元々楽しまれていた旅行や会食等に戻っていくと思われます。つまり、コロナ禍の「巻き戻し」が進むでしょう。そういった中で、釣りを人生と共に歩んでいただく、かけがえのない趣味としてお客様に選んでいただく為に、我々の店舗はどうあるべきか。こういった課題に一昨年から真剣に取り組み、コロナ禍によるいわば特需が終わった後も、釣りに注目していただける努力や選んでいただけるお店作りを強化してきました。今後もお客様の釣り物語が、豊かで継続的であるよう、お手伝いしていく事が重要だと考えています。
【業界の課題】
1.物流力
昨年は、「物流力」がかつてないほど問われた一年でした。コロナショックや資源高、半導体やパーツ不足など、複合的に起因する世界的な物流やサプライチェーンの混乱により、様々な業種で物不足が深刻化しました。我々が扱う釣具や釣り用品も、納期遅れや欠品は非常に多く、そういった状況に対応できる力が企業に問われた年となりました。昨年、何とか目標を超える業績を達成できたのは、当社が磨いてきた「物流力」の後押しも大きかったと感じています。
まず、売れる商品を見極め、それらをしっかりと注文し、在庫にする。そして、商品をタイムリーに店舗等に届ける、この様なトータルの物流力が試されました。現場・本部・物流の3つが、どれだけ上手く連携を深め機能していけるかが重要です。以前から求められていた物流力ですが、コロナ禍によってより一層求められるようになったと感じています。
近年当社で新店をオープンするとなると、4万アイテム以上の品揃えを行っている事が多く、これだけ多くの商品を日常的に扱っていくと、我々が欲しい時に、欲しい物を、欲しいだけ仕入れる事は不可能なのです。ですから、メーカー様が商品を作られるという情報をキャッチしたタイミングでしっかりとオーダーし、それを大量に受け入れストックし、店舗やお客様に必要な時に届けるという、物の流れを作ることが重要なのです。そういった意味で、今年度我々は物の流れを今まで以上にしっかりと管理し、コントロールできる「物流会社」を目指していきます。
2.DX ―効率化、省力化を図り、お客様へのサービス高める―
DX(デジタルトランスフォーメーション)を進め、省力化や効率化を全方位で行っていきます。物流センターの効率化や現場の省力化はもちろん、既に取り組んでいるセミセルフレジへの挑戦を行い、さらに、お客様に対してもアプリによる様々なサービスの提供や、店舗内でQRコードを利用した動画での釣り方の説明等、デジタルを活用したサービスを拡充していきます。
昨年は新アプリをリリースさせていただき、P‘SCLUBのデジタル化もスタートしました。お陰様で、すでに15万人の方がデジタル会員として登録をしていただいております。アプリでは、お客様同士がつながることが出来るコミュニティの場も設けており、自分の釣果写真を釣り場で投稿し、多くの方の反応を得る事が出来ています。当社ではその昔、店舗で“魚拓をとり掲示すること”から始まり、これが“ポイントのホームページに掲載すること”に変わり、そして今度は“アプリ内で釣り人ご自身から釣果情報等を発信できる”ようになりました。釣りの楽しみをシェアし、称賛していく、このような行為は釣りの文化のひとつでもあると思います。今後もデジタルを活用しながら、多くの方に釣りの魅力を更に広く伝えていきたいと考えています。
もちろん、リアル店舗でも釣りの楽しさを伝えていく取り組みは強化していきます。リアル店舗の価値を更に磨き、ジャンル初心者のお手伝いがしっかりと出来て、釣りの楽しさを知っておられる方の深堀や水平展開にしっかりと対応していきます。ジャンル初心者の方に適切な対応をするためにも、今まで以上に精度の高い情報収集能力が求められます。こういった事が、地域のリアル店舗の大きな価値になると思います。リアル店舗の価値を更に磨き、ジャンル初心者の方のお手伝いをするため、接客についても再度、研鑽に努めていきます。
最後になりましたが、改めてお取引先様各位の格別のご支援ご協力に対し、心より感謝申し上げます。2022年も引き続き、旧に倍してのご協力をお願い申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。